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雑感・備忘録・たまに偉そうなことをいう

この世は見て見ぬふりと、喉元過ぎれば熱さ忘れるで成り立っている

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誰よりも勉学に励み、誰よりも点数にこだわり、誰よりも時間の使い方にこだわってきた。それが医学部に進んだ学生たちだと思いますが、卒業後に待ち受けているのがこんな世界だというのは残酷すぎて言葉も出ない。彼、彼女たちが不憫でなりません。

 

とくに、えぇ…と思ったのは、

1960年代には大学の医局の権力構造を象徴する問題として学生運動のきっかけにもなりましたが、国はその後、若手医師の処遇は改善されたとして、長年その存在を否定してきました。

平成24年に行われた調査でも「無給医は存在しない」としています。

しかし、ことし1月から文部科学省が全国108か所ある医学部と歯学部の付属病院を対象に調査したところ、無給医が今も存在することが確認できたということです。

のくだり。そんな昔からわかっているくせして、無休医は存在しない、と言い続けてきたのか、と。学生運動に発展したともなれば、それなりの大事件であるはずです。でも、医師会も国(文科省とか厚労省とか)も各大学病院や総合病院も黙殺してきたのですから、その裏には我々には預かり知らぬ大きな力が存在することがうかがえます。

 

医局は教授を頂点とし、准教授、講師、助教と連なるピラミッドのような構造となっていて、最も下に位置する大学院生や医局員などは、医師として診療にあたっていても無給だったり、わずかな給与だったりすることがあるということです。

 

このくだりからから、医局(大学病院とか総合病院など)には、どうみても搾取構造がはびこっていたと言わざるをえません。端的にいえば、かなり穿った見方かもしれませんが、経験も実力も発言力もない若い連中は、君のためだから、成長のためだから、いや、先輩はみんなこの道を通ってきてから、といっておけばただで働くだろう、そしてできる限り経費を浮かして病院経営のために(お偉方のために?)役立てよう…ということだと言えるのではないでしょうか。

 

なぜ、何十年もこのような事態が存在し続けているのに、大きな問題にならなかったのか疑問ですが、労働にはしっかり対価を払うべきだと言えるでしょう。この当たり前が是正されず、慣習だから、という意味不明な理屈でこの状況が何も変わらなければ、この状況はこの状況であり続けてしまうのです。毎年研修医として送り込まれる若手医師の皆さんが、こうした状況におかれても、この苦行?理不尽?搾取?ともいえる時期を乗り越えれば、あとは特に問題ないから、まあ、いいや、と思ってしまうと、何もかわらないのです。

 

人の命を預かるお仕事なのですから、見て見ぬふりと、喉元過ぎれば熱さ忘れるが良しとされる環境は一刻も早く改善されるべきではないでしょうか。医師の世界がこうであるならば、他の世界も似たような構造が存在しているのではないか、と。たとえば、研究者の世界など。

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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